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「山田の意志を俺が受け継ぐ!」
鈴木はカセット握りしめ、モニターの前へと向かった。
信頼する山田を失ったチーム・メガネ。
鈴木までも失う訳にはいかないと、佐藤は声を上げて抑制する。
「待て、鈴木! 勝算はあるのか!?」
「ご安心ください、佐藤リーダー。俺は気付きました。カセットとは、日本語に訳すと小さな箱という意味です。つまり、このカセットの中に、ゲームを始める為の何かが入っているに違いありません!」
「なっ!? ……ふふっ、よくぞ気付いた」
佐藤は惜しみない拍手を送った。
そして、鈴木のメガネがキラリと光る。
「一見、中身を確認出来ないと思われるカセット。だが、溶接部分に隙がある」
そう言うなり、行動力のある鈴木は渾身の力を込め、カセットを真っ二つに引き裂いた。
それと同時に会議室の扉が開かれ、伊藤課長が入ってくる。
「どうだ、ゲームは進んで……何をやっとるのかね!?」
「えっ? いやっ、これは……」
完全に破壊されたカセットを持ち、鈴木は立ち尽くした。
「私の大切なコレクションを壊したな。鈴木君、ちょっと来たまえ」
どうやら、このレトロゲームは伊藤課長の私物らしい。
鈴木は壊れたカセットを握りしめたまま連行された。
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