未知との遭遇

4/6
前へ
/40ページ
次へ
「二人の意志は、私が受け継ぐわ!」  不穏な空気が漂う会議室に、紅一点の田中の声が響き渡る。  そして、積まれているカセットの中から一つを選んで手に取った。 「パックマン……ふふっ、良い名前ね」 「勝算がありそうだな?」  佐藤の問い掛けを耳にして、田中のメガネがキラリと光る。  次の瞬間、カセットを本体の差込口に装着した。 「まさか、こんな手があったとは!?」  山田の分析能力を使い、鈴木の行動力を見せる田中の姿に、佐藤は目頭を熱くする。 「散って行った山田と鈴木も喜んでいるだろう」 「はい、佐藤リーダー。でも、何かが足りませんね」  ようやくカセットを本体にセットできたが、スイッチを入れても、何も起こる気配が無い。 「おかしいわね……あっ!? ゲーム機のコンセントを入れてませんでした。ふふっ、私とした事が……」  田中は照れた表情で四つん這いになり、机の下に潜り込んでコンセントの差込口を探し出す。  お尻だけがフリフリと揺れて見えた。  ……  ……  その姿が……いやらしく見える。 「ありました! じゃあ、起動させますね」 「えっ? ……ああ、頼む」  佐藤と高橋は、田中の顔を直視できずに目を逸らした。  すると、いきなりモニターから異音が響き渡る。  ブ―――……  どうやら接続不良らしい。 「きゃあ!」  そんな事には気付かず、驚いた田中は腰を抜かしてしまった。  そして、足を崩して倒れ込む姿が……艶めかしい。 「どうして……」  ハプニングに弱い田中が気絶すると、高橋が冷静に本体の電源を切った。 「……」 「……」  何故すぐに電源を切らなかったのか?  田中の驚いた姿を見ていたかった……などとは口が裂けても言えない。  佐藤と高橋は目を合わせて頷いた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加