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「もう、僕しか残っていませんね」
「高橋……不安なのか?」
もはや戦力は、研修生の高橋しか残っていない。
しかし、高橋は不敵な笑みを浮かべた。
「いえ、逆にワクワクしますよ」
「ふふっ、統計学を極めているだけはあるな。ではゲームを攻略して、私達のプレゼンが成功する確率を述べてみろ!」
統計学とは、バラツキのあるデータから応用数学の手法を用いて、数値上の性質や規則性、あるいは不規則性を見いだす方法。
膨大なデータを有する高橋は、小型のノートパソコンを取り出して計算を始めた。
「お任せ下さい……出ました。私達のプレゼンが成功する確率は、158%です!」
……
……
「158%? あまり聞かない数字だな」
「もう既に、ゲームを開始するところまでは辿り着きました。それだけでプレゼンは100%成功するでしょう。しかし、それに我々の知能を足せば、更なる奇跡を起こす事が可能です!」
高橋のメガネがキラリと光る。
頼りないと思っていた研修生の成長を目の当たりにして、佐藤は喜びに打ち震えた。
「そうか。では、そのパックマンとやらの説明をしてくれ」
「了解で……」
急に高橋の動きが止まる。
パックマンとは、一体なんだろう?
説明書らしきものは無かった。
インターネットで調べるか? いや、それでは佐藤を失望させかねない。
研修生と言えども、チーム・メガネの一員。知能をフル活用し、答えを導き出すのだ。
高橋は数秒で考えを纏め、言葉を放った。
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