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「ここは迷う人によって変わるところなの?」
"あなたは"という言葉が引っかかり聞いてみた。
「うーん…微妙…かな?人によって開くところと開かない所があったりするんだ。今僕が見た限りじゃあなたのケースは僕は初めてなんだ。僕の先輩だと経験したことあるかもしれないけれどその先輩も見当たらないし。」
そう言ってしょぼくれていた。
立ち上がった私はすることがすぐには思いつかずもう1度手水舎をのぞき込む。
「あれ?お水がないね。いつもならちゃんと張ってあるのに」
男の子がおもむろに言った。
「そうなんだ…あ、君、名前は…?」
「生きていた頃の名前はわからないんだ。ここでつけてもらった名前はシロ。だからシロだよ。」
「シロは迷い込んだ魂だったの?」
「僕は迷い込んだじゃなくて行き場がない魂だったみたい。生前のことは何も覚えていないんだけどね。」
そう言って変わらず無邪気に笑いかけてくれた。
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