二人の先輩

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二人の先輩

23年の人生の中で、今ほど、己のドン臭さを痛感したことはない。 もちろん今までだって、自分が「イケてる」などと 勘違いしないだけの分別はあるし、 むしろ大学デビューだったという自覚だって、きちんと持ち合わせている。 だが、たとえ中・高時代の水泳部で万年補欠だったとしても、 学生時代の勉強も実習も超低空飛行だったとしても、 恋は、ほぼ失恋経験のみとしても。 私は、自分を情けなく思ったことは一度もなかった。 しかしこの一年余りの間に、そんな能天気さは、すっかり影を失くした。
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