みかんの中の戦い

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朝、光が差しこんで徐々に闇が散らされていくとのどかは救われる気がした。 おばあちゃんの家は田舎の大振りなものだから、天井と梁の間や土間の片隅など、日が差しても蛍光灯をつけてもいろんな所に闇がへばりつている。 中でも天井の北東角は一番暗いようだった。朝の光を祈る思いでずっと追っていたから気づいたが、その天井角には床板が敷いてあった。床板の上に神棚があるわけでもなく、その薄暗闇には丸くて黒い影が見えた。 おばあちゃんやお母さんと会話のない朝ごはんを食べた後、のどかは工具箱から懐中電灯を取り出して丸くて黒い影を照らしてみた。 影の正体は1個のみかんだった。
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