裏切り

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二人で静かに帰りを待った。 当時の私の唯一の救いはおばあちゃんだった。 「帰ってきたね~」 「…婆ちゃん、ごめん」 「皆心配しよったよ、百合どこで何しよったん?」 おばあちゃんだけが優しいな、昔から。 今まで何処にいて、何をしてたか、簡単には話した。けど、妊娠の事実はさすがに話せなかった。 「…お母さんは?」 「もうすぐ帰ってくるやろ、二人とも疲れてるやろう、ゆっくりしとき」 「うん…ありがとう」 "ありがとう"と心の底から思ったのもこれが初めてだったかもしれない。
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