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地下のレベル2869にある住居エリアからとりあえずレベル2000を目指すことにした。それには鈍行エレベーターでレベル2800まで登って高速エレベーターに乗り換え2500階で急行に乗り換えなければならない。急行に乗るには特別チケットを買う必要があって目が飛び出る金額だけど、そんな大金を僕が持っているはずがない。データでは前回の僕はベルトランの助けで切り抜けたらしい。
「まあL(レベル)2500に着いたら考えよう。ハックできるかもしれない」
「ハックして、捕まったら大変だよベルトラン」ベルトランっていうのは僕の相棒の名前だ。彼は僕の左肩に乗っているサイバネティクスコンピューターで見た目は鳥に似ている。と言っても生きてる鳥なんか誰も見たことないけどね。
「大丈夫だよルナ。僕たちは捕まったりしないから」
僕はベルトランにうなずいて出発の準備をする。
準備と言ってもひとりで住んでいる部屋のセキュリティシステムをセットするだけ。ちょっと留守にするだけだし、盗まれたら困るような物もない。
「じゃあ、行ってきます」
誰もいない部屋に声をかけてからドアを閉めロックする。
エレベーターは町外れにある古い."ステーション"にある。ここは大昔はトレインと呼ばれたものがやってきたらしいが、何百年も前の昔話だから、だれもそんなもの見たことがなかった。多分、嘘なんだろう。"ひこうき"というものと同じように。
エレベーターの周りにはゲイトがあって承認を受けた者しか通ることができない。もちろん僕は承認なんか受けていない。どうするかって?まあ見てなよ。
「頼んだよベルトラン」
「なんだっけルナ」
「もう、昨日プログラムをダウンロードしたじゃないか。まさか忘れたのかい」
「冗談だよルナ。忘れるはずないだろ。コンピュータなんだから」
「ちぇっ。腹が立つからそのジョーク関数消去しようかな」
「そこで何をしている」
突然声をかけられて僕はハッと飛び下がる。
そこへスタンロッドが振り下ろされた。
危ないところだった。
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