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「そういえばさっきのローパー、ルナを見て"女の子"と言ったね」
「だって僕は女の子じゃないか」
「…そうだね。まあいいや」
何の前触れもなくエレベーターのドアが開いた。途中誰も乗ってこなかったけど、上層階は過疎化が進行しているし誰も上に行こうなんて気は起こさないから、当然かもしれない。
ドアを出たところは広いホールで、上を見上げても天井は見えなかった。
壁にはL2800の文字が光っていて、いたるところに得体の知れないガラクタが転がっている。そして誰もいない。
「前よりも悪くなっているな」ベルトランがつぶやいた。
「そうなの。僕には前回のデータはダウンロードされていないから知らないんだ」
「急いだ方がいいかもしれない」
さっき乗ってきたエレベーターと反対側に大きなゲイトがある。
ここを通れば高速エレベーターへ乗れる。
周囲にはさっきみたいなアームドプログラムはいなかった。
「誰もいないねベルトラン。さっきみたいな警備員も」
「そこに転がってるよ」
「え?」
ベルトランに言われてよく見ると、周りに転がっているガラクタはほとんどシステムが管理しているアームドプログラムだった。
「何があったんだろう」
「正確には分からないけど、外見は傷一つにないからクラッシュアプリかもしれない」
「さっきベルトランがやったような?」
「そう。そしてゲイトのセキュリティも破壊されてる」
「え、じゃあノーチェックで通れるの」
「その通り」
ベルトランの言うとおり、僕たちは誰にも邪魔されることなく高速エレベーターのドアにたどり着いた。ドアもボタン一つで開いた。
高速エレベーターはさっき乗ってきたものと大して変わらなかった。
少し広くて椅子の配置が違うぐらい。
「ルナ」
「なにベルトラン?」
「悪い予感がする」
「順調に行ってるじゃないか。邪魔者もいないし」
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