開かずの踏み切り

「縁あって二年三組、三十五人みなさんの学級担任をすることになりました。息子二人が家からいなくなって、さびしい思いをしていましたが、担任になって三十五人の子どもが増えたようです。みなさんを自分の息子や娘と思って、全力でがんばりたいです」と熱く語った。
　しかし、ある男子生徒が「まるで昆虫の繁殖みたいやな」とつぶやくと、笑いの渦が広がった。その子は、昆虫が好きなようである。面白い突っ込みをしてくれたのだから、ネタを広げてやろうと私はこんな話を始めた。