赤い封をした手紙

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私は中学卒業前夜、ある夢を見ました。 まるで映写機のフィルムが入ったプールを、とてつもなく速い流れで押され中学三年間の記憶一瞬一瞬と向き合う夢でした。 そのとき同じ部屋に寝ていた家族が私の肩に手をおき、おっかないものを観たような顔で私を覗いてようやく目が覚めました。 寝てから数分しかたっておらず、兄弟いわく私はうなされていたとのことでした。 その夢、一瞬一瞬の記憶が私に問いかけたのです。 おまえの反抗は、あるべき秩序を乱すだけの暴力に過ぎないのではないか、と。 その夜、私は眠れませんでした。 非合法な怪しいものや、熱なんかでは神に誓ってありません。 私の記憶が、卒業という機会に溢れだしたのです。
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