弾けたボタン

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「京子―! 学校―! 行こうよー!」  玄関から霧子が呼んでいる。 「はーい!」  私は返事をして一階のキッチンで、母から朝食のトーストを渡され。霧子と駅まで歩いて行った。  霧子も普段と変わらない。 「京子? 昨日、先生に言われた数学の問題って、解った?」 「ううん」  私も解らなかった。  今日からまた学校は戦場に戻った気がした。  商店街の人々は、何故かすっきりとした顔立ちだ。  柏駅の改札口に差し掛かると、雄介君が他の学校の女子たちに言い寄られていた。 色々な学生服の女子に囲まれては、うんざりとしていた。  私もそれに紛れて雄介君へ大量のラブレターを渡した。  それを五枚くらい数えて雄介君が笑った。 「ははっ、俺のこと好きな奴はこんなことしないんだよ。本当に好きな奴だけしかしないんだ……」  雄介君は凄く優しい笑顔を私に向けて、改札を抜けた。
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