9人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
傾きかけた超オンボロアパート『椿荘』
入口には下駄箱が並んでいるものの、実際靴を入れるマスには歴代の住人が残した何だか分からないモノがぎゅうぎゅうに詰まっていた。
故に土間には汚ったなくてやたら大きな靴たちがそれはもう悲惨なくらい入り乱れて散乱している。
『真ん中踏むな!』とマジックで直書きされた階段を登り埃で真っ白な廊下を進んだ一番奥
くすんだ蒲鉾板の裏に筆で書いたような『二○五号室』
鍵を掛けたってちょっと引っ張りゃ蝶番の方が外れちまうだろ的な薄っぺらい玄関ドアには、破れかけた包装紙の裏に書かれた名前━━━
光朝龍之進(みつとも りゅうのしん)
何ともご立派な名前の彼が
このお話の主人公━━━
最初のコメントを投稿しよう!