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女は一人きりだった。
「………なに?あんた達」
「ひ、悲鳴が聞こえて!」
「さよう!絹を裂くようないたいけな悲鳴が!」
女が向き直っただけなのに二人は腰を引いて武器を突き出した。
「失礼な。私は悲鳴などあげてはいない。」
「…え…じゃあ此処で何を?」
「鍛練だ。」
「た、鍛練?」
「そ。健全な精神は健全な肉体に宿る。常識だ。」
腰に手を充てて胸を張る女
龍之進はへっぽこな構えを解いて首を傾けた。
彼の背後で智徳も同じポーズをとる。
「…鍛練て?」
女は鼻で笑うと脚を開いて腰を落とした。
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