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「で、でも…その声はちょっと…ま、紛らわし…」
龍之進の進言に女は困ったように汗を拭った。
「仕方ないだろう?」
「もうちょっとボリュームを下げるとか…」
「そんな事出来るわけないだろっ!」
智徳の言葉に女は彼を見据える。
彼は龍之進の背後にサッと隠れて背中を押した。
半歩前に押し出された龍之進は、ずいっと踏み出した女と接近してのけ反る。
彼女が龍之進の斜め上から威圧した。
「……悲鳴にしか聞こえないってか?」
「や!ややや!ぼ、僕は何も!言ったのは片瀬くんで…」
「あ!…あ!…ボクじゃ…」
「……悲鳴か…」
ガックリと肩を落としてブランコを囲う柵に腰を下ろす女
二人は見るからに意気消沈した姿に戸惑いながらヘルメットを取った。
「あ、あの、貴女のお名前は?」
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