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というか、見目好くいい男で女子には割とモテモテなんだろうなと見えるこの豊が、オカルトだの幽霊だの霊感だの、そういう方面の話をマジになって受け止めていることが芳明にはちょっと意外だった。
まあ、別にイケメンがオカルトにハマっちゃダメだなんて理屈はないけれども。でもイケメンというのは現実の生身の女子のお相手で忙しいものではないのか。幽霊なんて気にしている時間はないんじゃないのか。芳明自身はそんな経験とはまるで縁のない見てくれなだけに、想像しか出来ないんだけれど。
「確認したいんだ、で、もしかしたらちょっと……相談に乗って欲しいかも知れない。でカネがいくらかかるのかなとか、そういうことをちょっと聞きたくて」
「……そ、そう……なんだ」
ただ、かなり追い詰められているような彼の様子は気がかりではある。親友とまでは行かなくても同じ中学出身で、全く知らない相手でもないし。
──そこまで、考えてから。
心の中にぽんっとある思い出が蘇った。
……新聞記事。
テレビのローカルニュースの短い報道。無機質に読み上げられた死亡者の名前。
島崎なんてそう珍しい名前でもない、気にしていなかった。けれど、その翌日、学校の空気がひどく騒然としていて。
当時もサッカー部員だったこの豊が、怪我をした訳でもないのに自らレギュラーの地位を下りて、間近に迫る試合に出ないことになった、と、そんな噂をしている女子がいた。
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