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「……もしかして、……その」
言っていいことなのか。でも「それ」だとしたら、同じ中学の──つまりその「事実」を知っている相手である芳明に相談を持ち掛ける理由になる。
「……妹さんの、こと……が、関係、ある……?」
彼の目が微かに潤むのが見えた。すぐにまばたきで痕跡を消す。
ああ。と。
理解した。途端に、彼と凛々子をつなぐ線はくっきりと浮かんで来る。
「そっか」
豊が何かを答える必要はなかった。確かにそれなら、誰かオカルトに強い相手が必要になるんだろうと素直に思えたのだ。
「うん、えーと、話をしてはみるけど……ただ俺もそんな仲がいい訳じゃないけど、まあ、席近いしね」
近いのは本当だ。というか隣なのだ。だから雑談程度なら違和感なく出来る。
「ごめん。……その、……ありがとう」
何にそんなに追い詰められているのかは判らないけれど。まあ話をつけるだけだし。
その時の芳明は、かなり軽く考えていた。
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