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「おはようございます!」
入学式の準備でバタつく中、そいつは爽やかに隣の席にやってきた。
おはよう、とあちこちから先生方の返事が聞こえて、あたしも返事をしないわけにはいかなかった。
「おはようございます」
「おはようございます、虎城先生!」
ニコッと歯を見せて笑う好青年に、昨日のダーティな面影はない。
女の二面性や多面性なんて珍しくもなんともないけれど、男のそれには底知れないなにかを感じてしまう。
それはあたしが単なる世間知らずだからか、なんなのか。
「虎城先生、低血圧ですか」
「はい?」
「少し、顔色が悪いですよ」
心配するその表情も声も、すべてが嘘くさい。
あたしのことを非難するなら、自分のことも省みて欲しいものだ。
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