本当のワル

15/59
前へ
/107ページ
次へ
「いやいや。判ってくれたらいいんだけどサ」 男は嫌らしい笑いを見せた。 なにが判ってくれただ。もうウザいし、オマエとは話したくないのだ。 「もうオレの前に現れるな」 と言うと 「ああ判った。オマエももう女に乱暴しようと思うなよ」 ニヤケながら返された。 (それはオメーだろうがよ) と思ったが、しかしもう何も返したくなかったオレは、ムッとしたまま車へ向かった。 男も駐輪場へ止めてある自転車にまたがった。 ‐2‐ 会社へつき、上司に体調が悪いと説明すると 「そうか、仕事出て来て大丈夫か?風邪かな?ま、無理しないで今日は早く帰っていいから」 彼は外見、心配そうにしていたが、腹の中ではどう思っているかは判らなかった。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加