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行方不明から2週間はたっているし、生存の確率は低い。
犯人はカバンを奪い、死体は別の場所に遺棄した。
強盗殺人事件である。
しかしその後も死体は見つかっていない訳だし、殺害されたかも解らないが、ウチに刑事が来たように、帳簿に名前が上げられている、借金をしている全員に捜査のてが入る。
容疑の濃さは、借金の多さに比例していると思う。
だからウチなんかより、もっと多額に借金している人らは、綿密に捜査されるだろう。
ただ、ウチも完全に疑いが消えた訳ではないのだ。
そのうち真相も解明されるのではないか。
そう思って、ガキながら私は、興味深く新聞等も目を通していたが、利助さんの行方は判らぬままであった。
死体が発見されなければ、殺人事件と断定は出来ないし、報道もされない。
何も進展のないまま私は高校を卒業し、家を出ていった。
ただ、利助さんが居なくなってから半年後くらいに、利助さんの息子、金助と言う男が、ウチを訪ねて来た。
金助は利助さんの1人息子。
前にも述べたが、利助さんの奥さんは、その何年か前に亡くなっており、二人で暮らしていた。
当時、二十半ばだったと思う。
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