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ウチに来た理由は、父利助さんが貸していた金の取り立てだった。
私はこの男をこの時始めて見たのだが、両親は面識はあったみたいだ。
顔立ちはあまり利助さんと似ているとは思えないが、ふてぶてしい態度や振る舞いは、なるほど親子だなと感じさせるものがあった。
その金助は、利助さんの金貸し帳簿と借用書をチェックし、まだ返済が残っている家を回っているのだと言った。
てっきり借金はチャラになったと安土していた両親は戸惑っていた。
2どほど、父とこの男が、怒鳴りあってケンカしていたことも目にしたが、なんとか残りは返済したみたいだ。
「親も親なら子も子や。ケチでやらしいとこソックリやん」
父がそう強くぼやいていたのを覚えている。
両親、とも働きだったし、そこまでウチの家計が苦しく困っていたと言う感じは受けなかったのだが、父は競馬にはまっており、それで借金をこしらえてしまったらしい。
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