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‐6‐
卒業してからも私はこの行方不明事件のことを、ときたま思い出し、考えていた。
そして結果、あるひとつの恐ろしく、とてつもない辛い仮説に行き立った。
結論から言う。
これはやはり殺人事件。
その犯人は……
ウチの両親である。
遺体を何処に隠したのかも判る。
「なんで親を疑うん。おまえも利助さん帰って行くの見たんちゃーうんかい」
と言われるだろう。
あの時確かに私は利助さんを見ている。
いや、正確に言うと、利助さんらしき人物である。
そしてあの時の登場人物で、もう1人居なくなっている人がいる。
それは法貞おじさんである。
利助さんが帰った後、私はおじを見ていないし、翌朝も、もう家を出ていた。
そこでこう考えた。
あの時、借金のことで父と利助さんは口論になった。
カッとなった父は、方法は解らないが、彼を殺害した。
たかだか2、30万の借金で人を殺すか?
と思うだろうが、父は短気で、1度、班の寄り合いで気に食わない相手をボコボコにしたこともあった。
この時は回りの人も止めに入り、父も謝罪した為、事件にはならなかった。
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