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私は手を上げられたことはないが、特にアルコールが入っていると、短気のスイッチも入りやすくなるようだ。
あの日も父は晩飯時に日本酒をしこたま呑んでいた。
金を借りている相手とは言え、あまりよろしく思ってない利助さんと、酒に酔っている父が、バトルしているさまは容易に想像できる。
法貞おじさんはその場に居たのか。
いや、居たら二人を止めるだろう。
別の部屋にいて、居間からのただならぬ雰囲気を察したおじが、二人を止めに入ろうとした時はすでに遅く、もう動くことのない利助さんが横たわっていた。
「どないしてん!」
と、驚くおじに
「つい、カーっとなってな……」
と、うなだれる父。
しかしそうなってしまった以上、どうすることも出来ない。
選択は2つ。
おじと母は自首をすすめるかもしれないが、父はそれは出来ないと拒む。
となると、犯罪を隠すしかない。
利助さんの死体を前にし、3人は話し合う。
結果、法貞おじさんが利助さんに扮し、そして自分を見せる為に、まだ行われていた祭りに行った。
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