9人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなんバレるやろ」
と思われるだろうが、頭をツルツルに剃り、利助さんの服装で、ほっかむりをし、少し背を屈め、自転車に乗っている姿を想像すると、案外間違われるのではないか。
先にものべたが、父と利助さんはよく似ている。
本当は父が扮すれば、より一層信憑性はましたのだろうが、父が頭をツルツルにする訳にはいかない。
それでは後々バレバレになってしまう。
そこで法貞おじさんに白羽の矢がたった。
おじさんもどことなく利助さんと似ている雰囲気はある。
血が繋がっているからだろう。
ただ少し若いが。
しかしアノかっこうをすれば、間違えられても不思議ではない。
顔さえ見せなければ良いのだ。
祭りのさいの目撃者の証言も、遠めで見ただけで会話はしていないと言うことで、それが本人だったかというと確実ではないのだ。
利助さんに扮したおじさんは、祭りで人々に自分を見させておいて、利助さんの家に向かってチャリをこぐ。
最初のコメントを投稿しよう!