本当のワル

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「ちょっともう~、離してくれよ」 男は額にシワを寄せ、再度腕を振った。 オレはそれには対応せず 「今の女性が、あの時間、外出するのを知っていたのか」 と、オレ的に最高の睨みで尋ねた。 「ああ。月曜日の朝は、まれに、鍵閉めないで家着のまま、ごみ捨てに出て、そこのコンビニ行って帰ってくる時があるんだ」 男はオレの睨みに悪びれるようすもなく、平然としていた。 (そこまで細かく調査していたのだな) 下調べしてから働くのだろう。 根っからの窃盗犯なのだ。 見るからに前科もありそうだ。 「よし!ケーサツ行くぞ」 もう今の時間から出勤しても、完全な遅刻である。 コイツをケーサツへ突きだしてから出社する。 上司にこのことを話せば問題ないだろう。
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