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私はどうすれば良い?
(ほーらオレの思ったとおりやんか)
で済ますか。
入院中の父に真相を詰め寄るか。
いや、その後のことは考えない。
私はこの為に帰省したのだから。
これを確かめる為に。
私は再度スコップを突き刺した。
そう固くない地面に、先っぽはめり込んでいった。
少し掘ると、四角い板きれが出て来て、それを手で引っこ抜くと、ぽいっとその辺に投げ捨てた。
その後、小さなレンガのかけらや、ナイロンのようなものも出て来て、木の根っ子にもぶち当たった。
辺りは急に暗くなり、雲がさらに多くなり、そしてポツリポツリと雨が降りだした。
「やべー」
声に出した。
雨があまりにも酷い降りになるようなら、作業はまた明日である。
しかしそう強いふりかたでもなかった為、私は続けた。
「やめたほうがエエんちゃうか?」
私を見おろしてるケヤキが葉を二枚落とし、そう語りかけているように感じたが、もう後戻りは出来ない。
逆に私のほうこそ
(おまえ、何か目撃してんねやろ。教えてくれ)
と言いたかった。
私のこの行動を隠すかのように、辺りはさらに暗くなっていった。
雨と汗でびしょびしょになりながら、一心不乱にスコップで土をかき出した。
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