けやきは知っている

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30センチほど掘った所でまた何かに当たった。 少しずつ手で土をかき分けると、棒状のものが出て来た。 「うわっ!」 私はその場にしりをついてしまった。 それは骨と思われる。 ネコのではない。 人骨だろう。 胸に手をあて、1度気を落ち着かせた後、また掘っていくと、骨はバラバラでいくつか現れた。 やはりそうであったか。 ウチの両親は利助さんを殺し、埋めた。 私は恐怖と冷えで震えている手を止め、小雨の中、呆然とその場に一時立ち尽くしていた。 雷が聞こえ、雨足が強くなって来た。 私は急いで掘った場所に、適当に土をかけて埋め戻し、足で固めると、震えながら家の中に戻った。 とにかく風呂にでも入ろう。 ガキの頃は、五右衛門風呂で薪を炊いて沸かしていたが、さすがに今は給湯器に代えていて、ボタン1つで湯が沸くようになっていた。 10分ほどで、お湯張り修了のメッセージが聞こえたので、風呂につかった。 冷えた体に、湯がチクチクと刺す感じがしたが、それもすぐに消えて行った。 さて、どうしたものか。 公にしては当然まずい。 アレ(白骨)はあのままにしとくしかないか。 それに、このことを父に告げるかどうか迷っていた。
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