けやきは知っている

38/48
前へ
/107ページ
次へ
「えーっとな……あの夜利助さん、ウチにきはったやろ? あの後、祭り行って、自宅帰って来たんやけど、とたんに苦しみ出して倒れて死んでもうたんで、どうしていいか判らず困って、死体を押し入れに隠したと、最初は犯行は否定してた。 せやけど追求した結果、仕事もせんとプー太郎してることをとやかく注意され、夜中、寝ていた利助さんの首を絞めて殺し、利助さんの自転車に乗って河川敷に放置し、歩いて帰って来た。 次の日、駐在所に、父が帰ってけーへんと駆け込んだっちゅー訳や。 確か、そーやった思うで」 「そ、そーやったんや」 (オレの推理はなんやったんや) 私は自分の読みが意図も簡単に崩れさった恥ずかしさで、顔が熱くなって行った。 だがそれなら私の取り越し苦労だった訳で、全然問題ない。 父は殺人犯ではなかったのだから。 しかし、ケヤキの根元に人骨があったではないか。 あれは一体? 「あっ!あの白骨はもしかして!」 私はつい、声に出してしまった。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加