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呼びかけるのは手遅れで、女の子はモンスターに触れてしまった。
―が、重なった瞬間スーッとモンスターは女の子を通り抜けた。
「あれ?」
何事もなかったかのように女の子は歩いてる。
モンスターも女の子には興味なしといった様子で相変わらずうろついている。
どうやらモンスターに触れても問題ないようだ。
じゃあこれは一体なんなんだ。
誰かの悪戯か?ホログラフィックでどこからかモンスターの映像を投影しているのか…でもそうだとしたら他人に見えないのはおかしいし…。
などと考えている場合ではなかった。
「会社に遅刻する!」
こんな奇妙なことが起きているにも関わらず、遅刻しないか心配する自分が虚しくなるが、俺も道路に近づいてみた。
幸いモンスターは周りにはいない。
「よし、今なら大丈夫だな」
俺は道路を出て走りはじめた。
このまま走って駅まで行けば、いつも乗る電車にもギリギリ間に合う。
そうして走っていると、正面に赤色のモンスターの姿が見えた。
「無視無視」
見て見ぬフリをして交差点を曲がる。
もともと俺の通勤ルートは正面にいたモンスターの道は通らないのだ。
「ん?…げっ!」
ふと嫌な予感がして後ろを見ると、赤色のモンスターが追いかけてきていた。
「人間に興味がないわけじゃないのか?」
走るスピードを上げる。
どうやらモンスターは俺のことを追いかけてきている。
そうするともしかして、モンスターが追いかける対象は俺なのか?
考えてるうちに駅に着いた。
チラッと後ろを見るとモンスターが三匹に増えている。
「なんで!?」
やっぱり俺を追いかけているのは確定のようだ。
都心から少し離れたこの駅でも、通勤ラッシュ時は人が多い。
「すいません!すいません!」
人混みをかき分け、改札を通る。
この人混みを利用すれば、モンスターもやり過ごせるだろう。
急いで電車に乗り込みホームを見渡すと、もうモンスターの姿は見えなかった。
「ふぅ…」
ため息を着くと同時に電車のドアが閉まり、一先ず安心した。
この現象は一体なんなんだ?ゲームといえば、いつもやってる量とたいして変わらないし、俺の頭に異常が起きたのだろうか?
もしくは何らかのきっかけがあるのだろうか。
どちらにしても、あのモンスターに追われている以上ぶつかって襲われるのは避けた方がいい。
日曜彼女の家に行く前に、医者に寄っていこう。
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