代筆者

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 三年生になっても、等々力くんと私は同じクラスだった。  二年生のころの記憶は鮮明なのだが、三年生の記憶は曖昧だ。  私が受験勉強で忙しかったというのもあるだろう。毎日、等々力くんと登下校中は自転車に乗りながら話をしていたのだが、ほどんど覚えていない。等々力くんのお母さんの様態が少しずつ悪くなっていると聞いた記憶はかすかにある。  私は隣接県の私学の進学校に合格し、等々力くんは地元の公立の工業高校に合格した。進路も別々になってしまい、等々力くんとはどんどん疎遠になってしまった。
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