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黒い縁取りの遺影には、顔がパンパンに腫れあがった末期の頃のお母さんの優しく微笑んでいる写真が使われていた。
おそらく、等々力くんが例のカメラで撮ったものだろう。
「洋子の病気がひどくなる前の、もっときれいな写真があるやろう。死んだ後ぐらい、きれいだったときの姿で送ってやりたい。
洋子もきっとそうしてほしいと思っているはずや」
「いや、僕はこの写真が気に入ってるんや。絶対に変えへんから」
困り切った顔のお父さんが二人の間に割り入って、
「お義兄さん、息子の最後のわがままです。なんとか聞いてやってください。お願いします」
と頭を深く下げた。
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