代筆者

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 おじさんは、納得いかない様子で、舌打ちしてその場を離れた。  私がおそるおそる近づいていくと、等々力くんは、 「よう来てくれたなあ。ありがとう」  軽く会釈をしてくれた。 「等々力くん、たいへんやったな」  私が声をかけると、目配りしながら、右手で口を隠すように小声で、 「実は、弔辞は俺が読むんや。『杜子春』の感想文を読ませてもらうわ」 とつぶやいた。  私も小さな声で、 「いいよ」 と答えた。
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