代筆者

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 親戚、近所の人、等々力兄弟の学校関係者など五十人ほどが集まる中、僧侶の読経が始まった。焼香も終わり、やがて弔辞の時間がやってきた。等々力くんは学生服の内ポケットから織りたたまれた感想文用紙をゆっくりと取り出し広げ、低いけれどはっきりとした大きな声で読み始めた。  等々力くんがお見舞いに行き、お母さんが自分のことよりも家族のことを心配する(くだり)になると悲鳴のような嗚咽がそこかしこで、もれた。感想文を読み終えると原稿用紙を片手に持ち(おろ)した。
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