代筆者

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 切手収集といっても、まさにピンからキリまである。 『見返り美人』や『月に(かり)』などの高級な切手から使用済み切手を収集するなどさまざまである。私たちは、そのキリのほうであった。  家に送られてきた郵便物の切手の周囲をはさみで切り取り、使用済みの缶詰の缶に水を入れ、そこに切手をつける。やがて紙から分離した切手を縁側に敷いた広告紙の上に規則正しくならべ、干しておく。乾燥した消印付の切手を正月のお年玉で購入した切手ホルダーにはさんで保存していくのだ。今から思うと非常に質素なコレクションであるが、当時はそれが宝物であった。
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