その瞬間に

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神も仏も信じない。 そんなことを言ったら、君は怒るだろうけど。 あれほど祈ったのに君を助けてくれなかったんだから、俺にはこれぐらい言う権利があると思うんだ。 目の前で君の命が燃え尽きようとしている時、俺はどうしても考えてしまった。 最期の瞬間に君に何を言おうかと。 そして、君は俺に何を言うのだろうかと。 「愛してる」は一生分ぐらい言ったから、君は聞き飽きてるかもしれない。 それでも、やっぱり俺は言ってしまうんだろうな。君の顔を見たら。 君はきっと「今までありがとう」と言うだろう。 「ありがとう」と「ごめんなさい」は、元気な時からの口癖みたいなものだ。 もしも君が「ごめんなさい」と言ったら、俺が怒り出すとわかっているから、きっと最後は「ありがとう」。 なのに、君の最後の言葉は「またね」だった。 「またね。」 まるで、昔いつも別れ際に手を振った駅のホームで言うみたいに。 薄らと微笑んで「またね」と言ったんだ。 だから、俺はその言葉だけを信じている。 いつかまた君に会えると。 それまで、もう少し待っててくれよ。 END
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