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「……幸せにできないかもしれません。でも俺の最後の望みと希望は、印貢さんを手に入れることです。その為に、四区に戻ってきました」
幸せかどうかは、本人でないと分からない。でも、俺は海堂が生きていてくれて、凄く嬉しい。
「ごめんな、海堂。全部、俺のせいだよな」
賞金首を探し、人探しの報酬で孤児を自活させようとした。結果、追われた逃亡者に報復され、又、賞金のために殺しにまで手を出し、仲間を殺された。海堂は、仲間の報復をして、今度は自分が四区に賞金を懸けられたのだ。
「謝らないでください。泣かないでください。幸せにできないと言いましたが、俺は、今も昔も、印貢さんの笑顔が見たかった……」
笑顔が見たいと言われても、俺の笑顔は結構レアな物かもしれない。
海堂の手が、俺の頬に触れてから離れていった。
「あ、追っ手が来ましたので、去ります。又、会いに行きます」
海堂を引き留めようとしたが、追っ手は本当に来ていた。やっと会えたのに、ここで海堂を殺させたくはない。
海堂の後ろ姿を見送っていると、四区の制裁チームの一人が歩み寄ってきて、俺の横に立った。他の制裁チームのメンバーは、海堂を追って消えていた。
「印貢さん、海堂は追われています。現在も、事件を起こしています。余り、関わらないでください」
正面を向いたままで話している男を、俺は知っている気がする。
海堂は病院の公園を抜けると、消えるようにいなくなっていた。
隠れる場所など、この周囲にはないが、それでも海堂は一瞬で消えたように見える。事前に、逃げる準備はしていたのであろう。
「あ、思い出した。闇討ちチームの……」
隣の男が、指を手に当てて、言うなと合図していた。
これは、中学時代の先輩であった。
「難波ですよ。藤原に頼まれたのです。印貢さんの周囲を見張れと」
それでは、藤原も海堂が戻って来たと知っているのか。
「海堂は、今度は何をしたの?」
「海で、密輸の品物を奪いました。……海賊ですよね」
再びクシャミが止まらない。難波が、薬局を見つけて、俺を案内してくれたうえに、家に電話まで掛けてくれた。
薬局は、病院の駐車場の一角にもあり、正面にも大きな薬局があった。難波は、駐車場の一角の、小さな薬局に案内してくれた。こっちは、調剤しかしていないので早いという。表の薬局は、食材やディスカウント商品なども扱っていた。
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