第一章 海の上の空

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「では、終わったら電話をします」  病院の中に入ると、当時とあまり変わってはいなかった。 内科に並ぶと、ここはもしかして、紹介状が必要なのではと言い訳を考えてしまった。 しかし、季子は事前に話をしていたらしい。しかも、予約までされていた。 「風邪ですけどね」  看護士に、外科の連行されてしまった。 「おや、大きくなったね。病院嫌いなんだってね。はい、お腹を見せてね」  三年前の怪我の具合やら、他の傷の具合を確認されてしまった。 「はい、次は小児科に行ってね」  俺は、必死に首を振った。俺は小児科ではない。 「俺は……内科です」  自分で内科に行くと、やっと風邪の診療を受けた。 「扁桃腺も晴れているね。処方箋を出しておくよ。 高熱が出たら、座薬も出しておくから使用しなさい」  座薬というのは、もしかして、尻から入れるアレなのか。 俺は、座薬は必要ないと、手を振ってみた。
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