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「……座薬はいりません」
「はい、終了ね」
俺は、今日はとことん無視されている。
仕方なく会計に向かうと、椅子にへたりこんでしまった。
座薬はないだろう。
そんなのを見せたら、佳親はバカ受けするに決まっている。
病院は三階まで吹き抜けで、正面は全てガラスであった。
窓には夕暮れの空が、大きく見えていた。
俺は、夕暮れを見てから、目に手を当てて半分眠ってしまった。
「印貢さん」
名前を呼ばれて立ち上がろうとすると、大きな影が前に在った。
正面に人が歩いていたのに、俺は立ち上がろうとしてしまったのか。
慌てて座り直すと、前の人間が立ち止まっていた。
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