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構わずに走ろうとして、足がもつれ転びそうになったところに、腕が伸びてきた。
「……印貢さん。危なっかしいですね」
転ばずに済んだが、海堂は随分と背が高くなっていた。俺の背を越している。
「海堂、俺の背を越したのか……」
「あの……出会った時も、俺の方が背は高かったですが……」
海堂は一歳年下だったはず。俺の方が背が高かっただろう。
「竹田さんも帰っているの?」
海堂は俺を立たせると、薬局を探してくれていた。
俺は、処方箋を握り締めていたが、薬を貰うのはすっかり忘れていた。
「竹田さんは、時々、四区に帰っていますよ。よく印貢さんの様子を教えて貰いました。
今回も帰っています」
竹田が帰っているのならば、まだ安心できる。
海堂は、四区で問題を起こし追われていたのだ。
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