第一章 海の上の空

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 構わずに走ろうとして、足がもつれ転びそうになったところに、腕が伸びてきた。 「……印貢さん。危なっかしいですね」  転ばずに済んだが、海堂は随分と背が高くなっていた。俺の背を越している。 「海堂、俺の背を越したのか……」 「あの……出会った時も、俺の方が背は高かったですが……」  海堂は一歳年下だったはず。俺の方が背が高かっただろう。 「竹田さんも帰っているの?」  海堂は俺を立たせると、薬局を探してくれていた。 俺は、処方箋を握り締めていたが、薬を貰うのはすっかり忘れていた。 「竹田さんは、時々、四区に帰っていますよ。よく印貢さんの様子を教えて貰いました。 今回も帰っています」  竹田が帰っているのならば、まだ安心できる。 海堂は、四区で問題を起こし追われていたのだ。
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