第十四章 太陽と月

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「どうして?ここに?」 「俺も高熱を出したので、多分、もう大丈夫。試合の疲れかと思っていた」  そういう問題ではない。 しかし、秋里と倉吉も来ていて、左手を確認していた。 「これは、大人にしか効かない。けれど、俺達、人体実験の経験者には、 関係がない」  四区では何かがあったが、秋里も何か掴んでいるのかもしれない。 「多分、俺達は免疫力が強い」  有明は離れていても倒れた、湯沢も倒れたが一時間で復帰した。  秋里は左手を袋に入れると、密封していた。 それを更に袋に入れると、箱に詰める。  森の中で、鳥が幾羽も鳴いていた。 狂ったように鳴いていて、バサバサと羽音もする。 空が一瞬暗くなったと思ったら、征響が俺を覗き込んでいた。
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