第十四章 太陽と月

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「印貢、無遠慮に聞くな。可哀想だろう」 「ホーに連絡しておこう。有効」  そこで、又、相澤に怒られた。  後日、ミリンダは母国へと帰って行った。 海堂は、それを海の見える公園で見送っていた。 そこは、俺とミリンダが出会った場所でもあった。 「海堂。見送りか」 「そうです」  ミリンダのデータは、今も売買されている。 でも、それを立体にすると、悲しいまでの祈りの光景であった。 無垢でありながら、祈りは叫びでもあった。祈りは嘆きでもあった。 祈る事で、全てを喜びに変えようとした。  海から風が吹いてくると、潮の匂いがしていた。 三年前、ここでミリンダと出会い海堂へと結びついた。
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