第一章 海の上の空

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 天神区とだけ呼ばれる土地は、山の上の一角のみで、寺社と参道しかない場所であった。 俺は、その天神区に住んでいる。  相澤は、机に突っ伏して眠っていたが、顔を上げて俺を見た。 「馬鹿は風邪ひかないと言うけどな……印貢も風邪をひくのか」  どう意味なのか。 確かに俺は、ある意味、馬鹿をいつも連呼される。 「俺の安眠のために、印貢は、絶対に四区の病院へは行くな!」  相澤は眠そうであったが、妙にきっぱりと俺に忠告していた。 「はい。でも、考えてみると、俺の家って漢方ですけど、薬局ですよね。 風邪薬はあるかな……」 「……そうだね、薬局だったね」  相澤が長い溜息をついていた。
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