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天神区とだけ呼ばれる土地は、山の上の一角のみで、寺社と参道しかない場所であった。
俺は、その天神区に住んでいる。
相澤は、机に突っ伏して眠っていたが、顔を上げて俺を見た。
「馬鹿は風邪ひかないと言うけどな……印貢も風邪をひくのか」
どう意味なのか。
確かに俺は、ある意味、馬鹿をいつも連呼される。
「俺の安眠のために、印貢は、絶対に四区の病院へは行くな!」
相澤は眠そうであったが、妙にきっぱりと俺に忠告していた。
「はい。でも、考えてみると、俺の家って漢方ですけど、薬局ですよね。
風邪薬はあるかな……」
「……そうだね、薬局だったね」
相澤が長い溜息をついていた。
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