第一章 海の上の空

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 いつも一緒に帰る湯沢は練習しているので、 俺は手で湯沢に合図すると一人で帰途についた。  俺の通う高校は、この近辺では一番の進学校であった。 でも公立で、学校の隣には名門の私立一貫校がある。 他に国立の大学も二校あり、中学や小学校もある。  この学校ばかりある、天神一区や三区を総称して学園都市と呼んでいた。  高校の最寄り駅は天神一区駅だが、俺は逆方向に向かう。 俺の住む天神区は、天神の森駅が徒歩圏内なのだが、この天神一区駅と路線が異なり、 乗り換え二回を要する。 電車で通学するよりも、自転車の方が早いのだ。  クシャミをしながら自転車を走らせ、天神三区を抜け、四区を通過する。 四区から山に向かって長く伸びた階段を登った先が、俺の家であった。 この階段から先は、天神区となる。
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