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風邪が酷くなったのか、いつもは走って登階段が、長く感じる。
「あ、倒れそう……」
やっと階段を登り切ると、正面には江戸時代の木造建築がある。
黒塗りの古いものだが、むしろ最近はモダンにも感じる。
その建築物の上に、久芳漢方薬局という看板があった。
久芳漢方薬局の横に自転車を置くと、俺は店内を覗いてみた。
「季子さん!」
奥で薬の整理をしていた季子が、俺の姿を見つけて歩いてきた。
「どうしたの?風邪?」
希子が俺の額に手を当てて確認していた。
「風邪薬、ありませんか?」
「そうねえ、でも市販薬よりも、
お医者さんの処方箋の方が強い薬だから早く治るでしょう。
だからね、病院に行きなさい」
確かに早く治したい。
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