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「病院まで送って行くね。弘武君、自転車も辛そうだし。
それで、診療が終わったら連絡を頂戴。迎えに行くからね」
希子には店番もあるのだから、そんなに甘えていられない。
俺が首を振ると、季子は俺の意見は無視していた。
「佳親(よしちか)君、弘武君が風邪なの。病院に連れてゆくから、店番してね」
希子は、佳親に電話していた。
「いや、一人で行けます」
俺の言葉も、季子は完全無視してやりかけの仕事を片付けていた。
「…………」
俺は、この家を離婚して出て行った母親に死なれて、兄である佳親に引取られた。
しかし、最近分かったのだが、母は代理出産で俺を産み、
本当は二十二歳ほど年の離れた兄、佳親と季子の子供であった。
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