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リルディは、栄光のトップから谷底まで僅か2か月弱で落下するように滑り落ちて行った。重力に巻かれ最後は成層圏で燃えつきる宇宙のチリのように、一瞬ですべてを失ったのだ。
崩壊の序曲はリルディの監督であったラビン・バールが売春婦と戯れていたところを激写されたのを皮切りに、彼の奔放で淫奔を極めた生活ぶりが報じられたことだった。
バールの私生活の奔放さは彼を貶めるだけでなく、チーム、リルディの看板も著しく傷つけるのには十分だった。
火種を消そうとしている傍らで、また追い打ちをするように炎上した案件は主要スポンサーに関わるものだった。
リルディの主要スポンサーであるたばこメーカーが発売していたたばこに、表示値以上のニコチンとタールが含まれていると告発文がインターネットに掲載されたのだ。
この文章にはさらにガンを特に誘発しやすい化学物質が100以上も含まれていると、書き立てていた。実際の所、蓋を開ければどのタバコにもタバコの葉を使用している以上同様の成分は含まれている。
だが、この2件は完全にイメージ戦略によるダメージであり特にF1のスポンサーとしてもチームとしても手痛いものに違いなかった。
F1は広告のために行われているイベントである。
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