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僕は敬一君が足を進める車道の先に車が止まっているのを見た。その車の近くに来ると敬一君がリモコンで車のキーを開ける。
「ねぇ、運転席に人がいないけど? まさか敬一君が運転するとか言わないよね?」
「その、まさかだけど?」
「ええっ?! 僕達まだC学2年生だよ?!」
「C学2年生が車を運転しても取り締まる警察官がこの島にはいないからね」
敬一君はクスッと笑った。
「事故らないでね!」
「僕は安全運転だから。じゃあ、屋敷の薔薇を見に行こう」
★★★
屋敷に向かい、走る車から浜辺が見えて来る。
「綺麗な海の色……。エメラルドブルーって言うのかな? 砂浜も白くて凄く綺麗だ」
「島唯一のビーチだよ」
浜辺には砂で作られた、2メートルほどの高さをした、お城がいくつもあった。
「可愛くて洒落てる。ヨーロッパのお城みたいだね」
まだ少ししか見てないけれど、この島は人を楽しませてくれる島だと思った。とても美しい。僕は船着き場の近くにあった花火倉庫をふと思い出した。あそこだけ美意識に欠けていたと思うけれど設計ミスだろうか?
「この島はもっと見る所があるんだよ」
「もっとあるの?見たいけど、また、今度見せてよ。今日は庭園を見たら帰らなきゃ。兄さんに何も言わず来ちゃったし」
「うん」
敬一君は悪気なさそうに頷いた。
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