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「着いたよ」
車が止まった。
薔薇の垣根に可愛らしい薔薇がたくさん咲いている。蕾もたくさんあり、まだまだ次から次へと咲きそうだ。
「本当に綺麗だね」
僕は車を降り、垣根に近寄って可憐なピンクの薔薇の花びらに指先を触れ、鼻先を寄せた。
「この庭園は天使の薔薇園て名前なんだ」
「天使の?」
「君が今、香りを嗅いだのはラファエルって言う天使の名を持つ薔薇だよ」
「じゃあ、あっちの白い花びらのふちに薄いピンクがふわっとかかってる薔薇の名前は?」
僕は勝手に歩き出す。
「セラフィムだよ」
「セラフィムか。甘く強い香りがする。それぞれに個性があるんだね」
「似合うね」
敬一君が言った。
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