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「何が?」
「可愛らしい薔薇が。君に凄く似合うよ。天使の薔薇園に本当に天使がいるみたいだ」
「そう言うの苦手だって言ったでしょ」
僕は頬を熱くして、敬一君から顔を背けた。
「いいじゃない。恥ずかしがり屋なんだね。こっち向いてよ」
敬一君が静かに言うと、カメラのシャッター音がした。
「カメラ? 何でそんなモノ……」
僕が振り向くと敬一君がデジカメを持っていて、それは僕に向けられていた。
「カメラが趣味なんだ。笑って」
何度もシャッターの切られる音がする。
「上手く笑えないよ……」
顔を熱くして、僕はまた、顔を背けた。
「天使の名前の付いた薔薇は何種類あるの?」
僕は無視して訪ねる。
「8種類だよ。ラファエル、セラフィム、エアリエル、ミカエル、アブデル、ガブリエル、ウリエル、ルシファー」
「堕天使が混じってるんだね」
「全部見たい?」
「うん。見たい」
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