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「確かに、そんな感じだと男子と話が合わないよね。男のガキなんて、花を見るより、プロレス技をかける方が好きだもんね」
「あいつら乱暴で嫌いだよ。口喧嘩なら僕は負けないのに」
「こっちこっち。ここから屋敷に入るんだ」
敬一君が歩き出す。垣根が切れた所から石畳が真っ直ぐ伸びて、その先に噴水、そのさらに向こうに巨大な白い洋館があった。
お屋敷の様子は車の中からも見えていたが、間近で見ると、自分が不思議の国に迷いこんだアリスになったのかと思うような奇妙な庭がひろがっていた。
奇妙な庭と言っても、不気味と言う訳ではない。
庭を飾る多数のトピアリーは躍動感を感じる形状をしていたし、所々に置かれた大小の白い石のオブジェも心が弾むようなユニークな形をしたものが、白い洋館と調和して存在していた。
2階建ての巨大な白い洋館と奇妙な庭を、僕は言葉を失くして見つめる。
「葵君、この赤い薔薇がミカエルだよ」
「あっ、うん」
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